自作スピーカーを組まれる方の多くが、私と同じように「まずはフルレンジ1発」というパターンだと思います。
バスレフ型の箱にすることで低音域を少し増して~ のような感じで楽しんでいるのではないでしょうか。
「フルレンジだけでは、なんだか物足りないような気がしてきた…」
「もうちょっと唸るような低音、刺さるようば高音が欲しいなぁ…」
そんな風に思い立った時にオススメなのが、ツイーターとウーファーを追加するマルチウェイ化です。
フルレンジ1発にちょっとした「いろどり」を添える事ができますよ!
「とはいえ、凄く難しそう…」
そんな方の為に、マルチウェイネットワークを出来るだけかみ砕いて分かり易くしてみました。
マルチウェイを分かり易く解説した動画がコチラ
マルチウェイを分かり役かみ砕いて説明しました。音の違いを比較するサンプルもあります。
以下、補足と説明です。
マルチウェイのWAY数について
スピーカーの数が増えればWAY数が増えると思われるかもしれませんが、正確には違います。
アンプからの出力をネットワークでいくつに分けるかでWAY数は変わります。
これは3WAYです。
ネットワークを使い、ツイーターのみを追加する事で2WAY、そこにウーファーを追加すると3WAYになります。
ただツイーターを足すだけでも、結構いい感じの音の変化があるので是非試してみて欲しいです。
マルチウェイネットワークに必要な物
使う物は以下の物になります。
高音を足したいとき
・ツイーターユニット
今回使ったのは1000円ほどの安いやつです。
・コンデンサー
色々と実験したかったのでコンデンサーのセットを購入しました。
・可変式抵抗器(アッテネーター)
低音を足したいとき
・ウーファーユニット
今回使ったのは3000円前後のものです。
・コイル
こちらも今後の実験の為にセットを購入しました。
・フルレンジ(ミドルレンジ・スコーカー)に付けるためのコンデンサーとコイルと可変式抵抗器
コンデンサーとコイルの役割
そのままアンプに繋ぐと、ツイーターが故障してしまう可能性があります。また、それぞれのスピーカーの音が重なりあって、なんだかぼやけた印象の音になります。
そこで、コンデンサーとコイルを使って、ツイーターには得意な高音だけを、ウーファーには得意な低音だけを、中音域のフルレンジには高音と低音を抑えてもらい、音のつながりを揃える必要がでてくるのです。
コンデンサーは高音を通しますが、低音は通しにくい性質があります。
アンプとツイーターの間に直列に繋げる事で、ツイーターから出る低音域を減らします。
逆に、コイルは低音を通しますが、高音は通しにくい性質があります。
アンプとウーファーの間に直列に繋げる事で、ウーファーから出る高音域を減らします。
コンデンサーとコイルを両方とも直列に繋ぐと、低音域、高音域それぞれを減衰させる事ができます。
これは中音域を担当する、フルレンジや、ミドルレンジ、スコーカーなどに組み込みます。
なお中域を担当するスピーカーに取り付けるコイルとコンデンサーは、ツイーターとウーファーに取り付けた物と一緒の容量のものではありません。これについてはこの記事のもうちょっと下で注意点として説明させていただいています。
これによって、それぞれのスピーカーの得意な部分だけを鳴らすことができるわけです。
ちなみに、この分けた周波数のことをクロスオーバー周波数といいます。
配線図はこんな感じです
難しそうに感じるかもしれませんが、直列に繋ぐだけなのでそこまで複雑ではありません。
私はブレッドボードを使って実験をしていたのですが、細かすぎて訳が分からなくなってきたので自作のネットワークボードを作りました。
材料は、その辺に捨ててあったベニヤとダイソーで売っていた金属製のクリップ、ホームセンターで1m80円の赤黒ケーブルです。
上からツイーターに接続、真ん中はフルレンジ(ミドルレンジ・スコーカー)、一番下がウーファーに繋ぎます。
それぞれ、コンデンサーとコイルを繋ぐと電気が通る仕組みになっています。
クリップに挟むコンデンサーとコイルの容量を変える事で、音を変化させることができます。
どの周波数で分けるのかがポイント
どの周波数で分けるのかを決めるのが、コンデンサーとコイルの容量です。この容量を決めるのがマルチウェイネットワークのポイントとなります。
ツイーターに繋ぐコンデンサーの容量が小さければ小さいほど、高い音域から下を減衰させることができます。
例えば、4Ωのインピーダンスのスピーカーユニットにつなぐのであれば
4㎌のコンデンサーを繋げば5000Hzから下を減らせます。
2㎌のコンデンサーを繋げば10000Hzから下を減らすことができます。
ウーファーに繋ぐコイルの容量は高ければ高いほど、低い音域から上の高い音を減衰させることができます。
6.4mHのコイルを繋ぐと、100Hzより上の音を減衰できます。
1.3mHのコイルだと、500Hzから上の音を減衰できます。
中域を担当するスピーカーに取り付けるコイルとコンデンサーは、ツイーターとウーファーに取り付けた物と一緒ではありません。
例 ウーファー、ツイーター、フルレンジが全て4Ωの場合で、クロスオーバー周波数を500Hzと9000Hzにしたい場合
下の表より、ウーファーに付けるコイルは1.3mH、ツイーターに付けるコンデンサーは4.4㎌、
フルレンジに付けるコイルは0.14mH コンデンサーは79.5㎌となります。
ウーファー、ツイーターに付けた物と同じものを付けると、真ん中がスッカスカになります。
分ける周波数ごとに使う、コンデンサーとコイルの計算式があるのですが、エンジョイPCさんのサイトのスピーカー系のページに便利な表がありましたので使わせていただくことにしました。
エンジョイPCさんトップページ
http://www7b.biglobe.ne.jp/~billie/
表と、マルチウェイの説明が書いてあるページ
http://www7b.biglobe.ne.jp/~billie/sp/multi.htm
とても親切にわかりやすく解説してくれています。
可変式抵抗で音量調整しよう
そのまま繋いだだけだと、高音と中音がウーファーの低音より目立って聞こえるため、ツイーターとフルレンジの音量を絞る必要があります。
可変式抵抗をツイーターとフルレンジに接続し、ちょうどいい感じのところに調整しましょう。
私は100Ωの可変式抵抗を使って調整しました。
ちょうどいいところを見つける作業も、自分でやっている感があって楽しいですよ。
構造自体はそんなに複雑ではないマルチウェイの世界
マルチウェイって難しそう…と思われる方が多いかと思いますが、その正体はコンデンサーとコイルを繋ぐだけの簡単な仕組みでした。
どの音の高さ(周波数)までを、スピーカーに鳴らせるのかを決めて、区切ってやるだけです。
どの周波数をクロスオーバー周波数にするかの正解はありません。
自分がいいなと感じたところが正解です。
メーカー製のスピーカーユニットは、そのメーカーがオススメする周波数で区切ってあるということです。
いろいろ実験できるのが、自作の醍醐味でもありますので、ぜひいろいろと挑戦してみてほしいです。
音の変化が激しい分、自分だけの音を作っている感覚がけっこう楽しいですよ!
参考にさせて頂いたサイト様を紹介します。
エンジョイPCさんのサイトです。
http://www7b.biglobe.ne.jp/~billie/
その中のスピーカーのコンテンツ内に、クロスオーバー周波数の計算式と分かり易い表がありました。
今回はコチラを参考に組ませていただきました。
http://www7b.biglobe.ne.jp/~billie/sp/multi.htm
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