東京木材市場内浜問屋 新木場相原のブログです

「木」の新しい価値の生み出し方について学んだ TOKYO STYLEで行われた勉強会後半

 

中島工務店さんのモデルルーム

TOKYO STYLEで行われた勉強会の後半戦

 

芝浦工業大学の青島啓太さんによる

木の国際化 と CLT

についての講演です。

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木の国際化

 

青島さん

2006-2008年 アトリエ・天工人 勤務
2009-2010年 エチオピア・メケレ大学 専任講師
2011-2012年 イスタンブール・TAGO Architects 勤務

現在では芝浦工業大学の特任助教をされている方で、

 

 

エネマネハウス・母の家2030(2014)

メケレ大学遺産保護研究所(2014)

日本-エチオピアミレニアムパヴィリオン(2008)

等を設計された方です。

 

ご自身のエチオピアでの経験から

ティンバーローテーションによって

「木に新しい価値を付けられる」 という事を話されました。

 

 

続いてCLTのお話

 

CLTとはクロス・ラミネーティッド・ティンバー(Cross-Laminated-Timber:CLT

の事です。

clt2

画像はコチラからお借りしました http://clta.jp/clt/

 

今、木の新しい価値の形としてCLTが注目されています。

今月「地方創生実現のためのCLTの活用推進に関する申し入れ」が決議され

2016年はまさに「CLT元年」ともいえる年になります。

 

CLTは今の技術に対応している為、エンジニアリングウッドとして注目されています。

そのCLTの性能や利用事例の紹介をされました。

 

ここからは個人的な考えなので賛否両論あるかと思いますので、

文字を反転させていただきました。読んで不快に思う方も多いと思いますので。

 

帰ってから色々と考えさせられる、そんな素敵な勉強会でした!ではまた!

 

 

さて、私は今回のこの勉強会で「木」に対する

加子母村による圧倒的な「情緒的ベネフィット」の提案と

CLTによる圧倒的な「機能的ベネフィット」の提案

を学ぶことが出来ました。

 

 

加子母村の東濃ひのきは、

木が材木が好きな人、わかる人に対しては、本当に素晴らしい材料だと思います。 

愛情を込めて手を入れ、地域が大切に育ててきた「木」の物語 それだけで惹かれていきます。

そういう物語を持った材を使って多くの人に家を建ててもらう。

そうすることで昔のように良い木を使うことがステータスになる業界に近づけると思うのです。

 

 

一方、CLTは

集成材や合板のように木をボンドで貼り付けて、木で工業製品をつくったような感じです。

そこには、原木の良し悪しは関係ありません。木だったらなんでも大丈夫。

手入れされていない木たちに対する新しい利用方法の提案です。

正確で、狂いの少ない材料 今の機械に対応しているため、様々な木の可能性に期待できます。

「木でどんなものでも出来ちゃう」 そう聞くとワクワクしますね。

 

 

ただ、このCLTはちゃんと川上に利益を還元できる仕組みがあるのかな?

そこが気になりました。

 

加子母村は完結型林業です。伐採から施工までを一か所で行えます。

なので地域の物語に共感をいただくことで木の価値を高めることができます。

 

ですが、現状のこの業界のそのほとんどは分業型です。

植栽伐採をされる人がいて、原木市場の人がいて、製材所の人がいて、木材市場の人がいて

材木屋さんがいて、工務店さんがいて、建築士さんがいます。

 

私が好きな言葉は 三方よし です。

川上から川下まで、みんなが幸せにならなければ、業界の発展はありません。

誰かが不幸になったらダメなんです。

 

現状の市売問屋として私の立場は 

はっきり言って木の価値を下げていると感じます。

 

安く、安く、安く!ひたすら安さを追求されます。

お客さんも少しでも安く買えたことがステータスであり誇り。

主婦のチラシの見比べのような感じ?1円でも安ければ他のスーパーへ

それは材料としての価値が値段でしか差異性が取れないからです。

 

すると、自分たちも安く、安く、安く!一円でも安く仕入れをしなければやっていけません。

結果的に川上の人たちを苦しめる。そんな立ち位置だと感じています。

 

「良い木」を使うことがステータスだったバブル期は

ブランド材が飛ぶように売れ、一日で何千万、何億売るなんてのも珍しくなかったそうです。

結果的にちゃんと川上である山にお金として木の価値が還元されていました。

 

ですが、

「良い木」を使うことがステータスではなくなった現在は木を育てることが

価値になりえない地域もあります。だから山を放置してしまう。

(現在、和室が無い家が多いのがその証拠だと思う。)

 

えどがわ起業家ゼミナールで学んだ事なのですが

「機能的ベネフィット」を売りにすると、結果同じようなものが市場にあふれ

最終的に価格競争になっていきます。

 

木だったらなんでも加工できちゃうCLTが広まって木材需要が増えたとしても

それはちゃんと川上を潤すことにつながるのかな?そんなことを考えてしまいました。

 


木は適材適所だと考えています。 
合板が適しているところは合板、
積層が適しているところは積層、
CLTが適しているところはCLT。
無垢が適しているところは無垢。

国産材を普及させるための目的のために

木の工業製品を広める目標があるのだとしたら、

なんでもかんでも木の工業製品でいいや!ではなく
情緒的な部分を持った木や材料と、うまく組み合わされて
新しい価値が生まれていけばいいなと思うのです。

(自分のところの製品、材料を売りたいのは痛いほどわかりますが・・・)

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