東京木材市場内浜問屋 新木場相原のブログです

第7回木育サミットに参加して感じたこと

R2、2月8日に新木場の木材会館で行われた第7回木育サミットに参加しました。

木育サミットとは、木に親しみ、木を活かし、木と共に生きていく「木育」の活動を多くの方に知っていただくためのサミットです。

今回は木材の消費地としての役割が期待されている東京において、「木育」の取り組みが環境や社会にどう貢献するのかを考えるという内容です。

 

プログラムは午前に本郷浩二林野庁長官の基調講演「都市と森をつなぐ木材利用と木育」、檜原村村長、東京チェンソーズの青木さん、オークヴィレッジ佐々木さん、東京おもちゃ美術館ただ官庁による基調シンポジウム「東京の樹が活かされるーTreeがWoodになる檜原村のトイビレッジ構想ー」が行われました。

午後は分科会となり、興味のあるテーマの講演を受ける事ができました。

私は「お隣さんの問題をズバッと解決!教えて、木育のこと」に参加させていただきました。

基調講演「都市と森をつなぐ木材利用と木育」

本郷 林野庁長官による基調講演では木が使われなくなった理由、日本の森林資源の現状、既存の中低層の新設住宅に依存している木材利用を非住宅や中高層住宅にも促進していこうということ、木材利用を推進する最近の動きなどを話されました。

少子化で人口が減るのに比例して住宅着工戸数が減少していく中で、既存の新設住宅に依存していくのではなく新たな木材利用を推進していく「ウッドチェンジ」について説明されました。

私としても、非住宅やマンションなどに木を使ってもらう活動をするのは良いと思います。内装を決定する決定権を持つ人間にどうOKを出してもらうのかがネックとなりそうですね。

基調シンポジウム「東京の樹が活かされるーTreeがWoodになる檜原村のトイビレッジ構想ー」

東京都 檜原村村長 坂本義次さん

株式会社東京チェンソーズ 青木亮輔さん

オークヴィレッジ株式会社 佐々木一弘さん

座長 東京おもちゃ美術館 多田千尋さん

この4名によるシンポジウム。

東京都の檜原村は面積の92.5%を森林が占めている村です。この資源を活かす施策のひとつとして説明されたのが今回の「檜原村を日本一有名な木のおもちゃの村にしよう」というトイビレッジ構想について話されました。

他の林業地には無い檜原村の大きな特徴が「産地が近い」事です。消費地も東京、産地も東京なんですね。行こうと思えば、都心から1時間半ほどでたどり着く場所に自然豊かな村があります。この強みと「東京の木」というストーリーを、新たに建設しているおもちゃ美術館の営業や木のおもちゃを通して発信していくのです。

そこに関わってくるのが株式会社オークヴィレッジ。森林と市場を直接つなぐ、商品にある唯一無二のストーリーを上手い事紡ぐ木材の価値を最大化するモノ造りを行います。

 

私の心に一番残ったのは「既存の流通ルートでは丸太の価格が安くなりすぎる」ということ。それに対して木のおもちゃに加工すれば材積あたり何十倍もの価格で売れていく。木を切って、それを原木の市場に流すしかなかった所から脱却する。

着工戸数の減っていく住宅から、まだまだ伸びしろのある木のおもちゃを生産し流通させることで自分たちで使う木を増やし、市場に卸さなくてもやって行けるようになればということでした。檜原村の6次産業の取り組みは、東京だからこそできる驚きやギャップ感を売りにした

分科会④「お隣さんの問題をズバッと解決!教えて、木育のこと」

午後の分科会では「お隣さんの問題をズバッと解決!教えて、木育のこと」に参加しました。

株式会社長谷川萬治商店の長谷川泰治さん、島根大学の山下晃功チャーリー博士、認定NPO法人芸術遊び創造協会の石井今日子さん、株式会社セールスフォース・ドットコムの遠藤理恵さん、座長に株式会社小友木材店の小友康広さん。計5名が壇上に上がり行われました。

皆で踊ったロボ木ーの歌は衝撃でした。
カホン持っていけばコラボできたかも!?

今回は、チャットツール「slido」を使用し、会場内の木育に関する疑問を取り上げみんなで答えていくという内容でした。

チャットツール内で注目が集まった、「そもそも木育とは何なのか、ひとことでいうと何になるの?」という疑問

私も常々疑問に思っていた事なので、どんな答えが出るのか楽しみでした。木のおもちゃで遊ぶことが木育なの??と思ってたんです。言い方は悪いかもしれませんが小さいときに木のおもちゃに親しんだから、将来的に木の家に繋がるのかは疑問で仕方がなかったですからね。

木育に対する答えは、「立ち位置によって答えが違う為一言で言うのは難しい」ということでした。チャーリー博士は「森を育むための木材利用に関する教育活動」と定義しておられました。まぁ、それであれば立ち位置がどこであれ通用しますよね。

もう一つ、木のおもちゃのマーケティングが上手くいくように知恵をかりたいというもの。

木のおもちゃといえば、高い、メンテナンスが分からない、という問題点をどう解決していくのか。

答えとしては、大量生産の石油プラスチック製品に比べると木製品が高くなってしまうのはどうしても仕方がない事。高くても買ってくれるような事が必要。物の魅力が自分事になる、「高くてもイイよね」というバックグラウンドをきちんと伝える事が大切という事でした。物の価値が機能+デザインになっている現状に「ストーリー性」を持たせるという事ですね。

会場内には木育グッズがいっぱいありました

会場内には木育グッズの木のおもちゃがいっぱいありました。

深川ウッドフェスのコーナーもありました

今年は3/28と3/29にやるとの事です!

今回の木育サミットに参加して感じたこと

今回、木育サミットに参加して感じたポイントは「既存流通への依存脱却」と「木の価値の最大化」の2点です。

既存流通への依存脱却

既存の木材業界は上の絵のように切られた原木が原木の市場に集められるのです。すると、木は育ってきた年月や育てる手間、切り出す手間を考えると驚くほどに安い値段で買い取られていきます。すると自動的に山側に帰ってくるお金も少なくなるわけです。だから補助金なしではやっていけなくなる。

そこで、既存の流通ルートから脱却し、自分たちで木材を加工販売する6次産業化する事で補助金に頼らない事業を行うという事です。思ったように事業計画通りうまくいくのかどうかはひとまず置いておいて、檜原村のトイヴィレッジ構想は凄いと思います。

既存流通にこれ以上伸びしろが無い事が分かっている以上、資源や時間を伸びしろのある方向に使っていこうという考えはやれそうでなかなかやれない事です。実際に動き出しているだけに本当に凄い。花巻のおもちゃ美術館も凄い。

木の価値の最大化

二つ目のポイントが「木の価値の最大化」です。

木の価値を最大化する為に必要不可欠なのが、異業種とのコラボレーションです。

例えば、教育、育児、IT等ですね。木材業界だけではどうしても凝り固まった考えになりがち。異業種であれば驚くほど簡単に解決できる問題も多いはずです。

それが、木の価値を最大化する事に繋がっていきます。

たとえば、木のおもちゃがわかりやすいかもしれません。私は材木業界にいる人ほど、木のおもちゃに価値を見出していないと思うのです。それが子育ての場に行くと思った以上にウケがよかったりするそうです。まぁ、うちの子どもたちも私が作ったつみきを色々なものに見立てて遊んでますからね。

戦隊ものやヒーローものの音が出たり光ったりするおもちゃに比べると木のおもちゃはとても地味です。ですが、自分で考えたり想像したりしながら遊ぶことが出来る事に良さがあるのだと感じます。あとはその価値をどう高めていくのかという事です。

「木の価値を最大化する」というワードがポイントだと感じました。

 

とりとめのない内容になってしまいましたが、今回の木育サミットの感想は以上です。

スポンサードリンク







コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です