東京木材市場内浜問屋 新木場相原のブログです

木材問屋にいて感じた木材業界のこと

この記事は私が木材業界について思ったこと考えた事をまとめたものです。きっかけは自分の考えや思いを今一度整理したかったから。

木材問屋にいる視点で思う問題点も羅列しています。

あくまでも製品市売問屋にいる視点の私の考えなので、人によってはあまりいい気分にならない可能性がありますが、たとえ批判されたとしてもこの記事が誰かの目に留まって木材業界を救うためのアイデアを生み出せるきっかけになれば嬉しいと考えています。

昔の木材業界の話

私が木材業界で働き始めた2012年にはすでに東京木材市場の浜問屋は3件のみ。(うち一件は翌年のクリスマスの日の夜中に事務所の扉に債務整理開始通知書が…)その日から2件。お世辞にも売り上げが良いとは言えない状況にあった。そんな中よく聞かされたのが木材業界の昔の話。とにかく毎日耳タコになるぐらい昔の話をされた。

・セリ上がりが凄い!
東京木材市場の市日には数百人があつまり、活気あふれるセリが行われていた。

・木材であれば、あれば何でも売れた。
とにかくなんでも。バブル期で木材の需要が供給に追い付いていない状態。

・市場の仕事は「買方をあつめること」
問屋の仕事は「荷物を集める事」買方の仕事は「買う事」

・「役物」と呼ばれる節の無いような高級材や銘木が高値でバンバン売れた。
並材は役物を売るための餌として原価で出fしたとしても、役物で余計に取り戻せるぐらい利益率が高かった。

・和室が家を建てる人にとってのステータスだった。
昔はお葬式など人を自宅の床の間に招く文化があり、それゆえ和室に使う材料にこだわった。
そのため、さきほどの役物や床柱、高いランマが売れまくっていた。

・乾燥機、プレカットが無かった為、大工が時間をかけて全部手きざみ
昔は木材の乾燥機が無かった為、1年ぐらいかけてグリーン材を乾かしながら家を建てた。プレカットの機械も無かった為、大工が材木屋の下屋で手で加工を行っていた。なので在庫をある程度もつ必要があった。

・木材市場の木材置き場単位で買っていく人もいた。
木材市場には広い木材置き場がある。その木材置き場の「あそこからここまで全部くれ」という人もいた。そのぐらい材が不足していた。どんなざいりょうであttあれば何でも売れた。

・売上自慢のレベルが凄かった。
「今日は1億売ったぜ!」「俺は8000万だ」等、市後のセリフが今では考えられないものだった。

・人夫(にんぷ)と呼ばれる担ぎ専門の人がいた
当時はフォークリフトも無かった為、全てが手担ぎ手下ろしだった。
そのため力仕事専門の人夫と呼ばれる人が雇われていた。

・材木屋として独立する人が多かった
材木屋の従業員が、お客さんと荷主を引き連れて独立する事が多かった。

昔の話からわかったこと
高度成長期とバブルの影響でいかに木材業界が盛り上がっていたかが分かりました。
とにかく需要が供給に追い付いていない。売れて売れて仕方がなかったのでしょう。

木材市場の現状

私が今いる木材市場の現状について。一次情報満載です。

・顧客は減る一方。
木材市場の顧客は買番とよばれる番号を持っている材木屋さんのみ。その材木屋さんが減少の一途をたどっている。毎年全体の2割ぐらいの材木屋さんが廃業や倒産で無くなっています。

・新規で顧客が増える事はほぼ無い。
「今から材木屋を始めるぞ!!」なんて人はいない。
他の市場のお客さんが1件だけ、たまに来てくれるようになったぐらい。

・もちろん売り上げは徐々に下がる。
顧客が減っているのに、売り上げが上がるわけがない。

・プレカットのおかげで構造材はあまり売れない。
構造材の流通はプレカットに移り変わっているため柱や土台構造材はあまり売れない。

・昔は一等材は原価のような値段でOKだった。
一等材は役物を売るための餌のようなものだった。今は一等材だけしか売れない。

・材木屋さんの仕入れの単位が梱包から束単位に。
昔は、1梱包単位の仕入れが当たり前だったが、今は要るものを要るときにいるだけ市場に仕入れに来るようになった。

・木の大消費地「東京」で一番売れている材は「バタ角」
東京は一軒家よりもビルなどの建物が建つため、必要とされるのは土木用の一等材「バタ角」が売れる。
メインのお客さんは納材屋さんや、ゼネコンと取引のある材木屋さん。
建築に使う為の良い木材よりも、こういったものが求められている。良い木材をとるために山に手を入れている人はどんな気持ちなのだろうかと思ってしまう。

・昔は「委託」今は「買取」
昔は材料は製材所からの委託販売だった。競りで値段が上がればその分取り分が増えるから。一方、今は競り下がる時代。よって委託の材料はほぼなくなった。基本的に買い取り。委託販売であれば売れなければ返せばよいが、売れなければ在庫のリスクを負うことになった。売れる物しか仕入れる事ができなくなった。

・市場の売上の多くが実は「問屋」説
ある程度量を売ろうと思うと、置き場がある客に売ることになるが小売り屋さんは基本的に置き場がないのでそんなに多くは在庫できない。
木材市場の売上のほとんどが小売り屋さんに対するものでなく、問屋どうしのキャッチボールだったりする。

・もはや市は成り立たない
昔は材が不足していたため、材料の値段が競りあがったが今は逆に競り下がる。
市日にくるお客さんも失礼ながら半数ひどいときは9割ぐらいが、1本も買ってくれない。もはや商売として材木を必要としていない人。
そもそもいつも買ってくれる人は忙しいから市には来ない。
ちなみに、昔は毎週木曜日の市でしか木材が買えなかったからお客さんが大勢集まった。

・昔からの風習に縛られまくり
何処の業界もそうだと思う。「昔からこうだから」がすごい。
いわゆる思考停止というやつ。

・お客さんのお客さんの欲しいものが分からない
製材所→問屋→材木店→工務店 これが昔からある木材流通
材木店は、工務店が使う材料を仕入れるが、問屋は工務店が欲しいものが分からない。

・BtoCは市場では現実的ではない
1枚1束単位での販売になってきているが、市場ではBtoCはやりづらい。
「その場で現金で売ればいいのでは?」とも思うかもしれないが、市場の決まり(商道徳的な意味で)どうなのかというのが邪魔をする。
また、配送業者の関係で長物を届けるのも無理、加工機が無いため加工は無理。

・八方塞がり感がすごすぎる。
なんというか、何をしたらいいのか全然わからない。というのが正直なところ。

・そんな中、自分にできる事を探した結果が「あいはらの木」
問屋業とは全然違うけれど、活動していると日々心が救われていく。
問屋という強みを多少なりとも活かせていると思う。
起業やマーケティングなどの勉強をするきっかけになった。

・相原で買ってくれない材木屋は敵だと思っていた時期があった
「木材はどこで買っても物はおおよそ同じ。だったらウチで買ってくれ!」
今ではそんなこと思ってもないが、昔は相原で買ってくれないお客さんは敵だと思っていた時期があった。
相原で買ってくれない理由は、相原に欲しい材料が無いから、付き合いが無いから、他の問屋との付き合いが深いから、相原の材料の品質の問題等、色々な要因がある。にもかかわらず、相原で買ってくれない材木屋さんは全て敵だと思っていた時期があったのです。

・この世の全ての材木屋さんを応援しようと思った。
上のように相原で買ってくれない理由が色々と判明した。
その後、私はこの世の全ての材木屋さんを応援しようと考えました。そこで立ち上げたのが「木材・材木のススメ」という木材と材木のポータルサイトです。
この世の全ての材木屋さんの売り上げが勝手に上がっていったら喜ぶだろうな。と。

・世間の材木屋さんのイメージ
一般の人は材木屋さんで材木を買う事はないと思います。
その理由として「値札が張ってないからいくらなのかわからない」「一般の人には売ってくれないかもしれない」「なんだか怖そう」「そもそも入りずらい」「声をかけていいのかすらためらわれる」「何を買ったらいいのかもわからない」

世間の材木屋のイメージは工務店相手のプロショップなのです。まぁ、実際にそれがほとんどなのでしょうけれど。

そんな人たちが木材を買うのは「ホームセンター」になります。カットサービスや金物や工具も一緒に買える。値段もわかる。逆に考えるとホームセンターで買わない理由が無いですし、材木屋にまで行って買う理由が一つもみつかりません。

・市場ではJAS材の需要はほぼ無い
木材市場ではJAS認証材の需要はほぼ無いといっていい。
その理由はJAS認証材を使わなければいけない仕事を材木屋さんとそのお客さんの工務店さんが持っていないから。
JAS材が必要なのは公共物件がメインになるだろうが、そんな大きな仕事を取れるのは町場の材木屋さんには回ってこないのだ。たまにあるのでも合法木材の出荷証明書だが、これも年に1、2回あるかないか。

私のいる流通ルートではJAS材は必要とされていない。

・出荷証明書はなんとでも書ける
ぶっちゃけ、出荷証明書はどことでも書いてと依頼できる。どこ産の材かなんて素人が見たら分かりっこない。
生えていたところがどこであろうが、製材したところが原産地なのだ。
奈良の吉野の原木だって、秋田で挽けば秋田材って書ける。不思議でしょ?

もちろん、地方によって木味も違う生えているところによる違いが無いとは言わない。私も大まかには「西の方の木だな」とか「北の方の木だな」とかはわかるがピンポイントでどこ産の材かなんかわからない。
もちろん何十年も木材業界にいる人間だってピンポイントではわからない。日焼けした材だったら樹種すらわからなくなるのだから。

書類一枚で解決するんだから、どこ産の材で建てたかなんて関係ないのでは?と思っちゃいます。

・同メーカー商品が被るのはNGという謎ルール
同じメーカー(製材所)の製品が問屋同士で被るといけないという謎のルールが存在します。
業界でいったら当たり前の事なのかもしれませんが、私は異業種からきているのでこれが謎のルールに感じます。
看板を隠したり削ったりすることも。製材所のブランドが隠された結果、ただの規格木材になります。

・結局、山から最終顧客まで一気通貫でやるしかない。
加子母の家づくり、TOKYOWOODなどのように、山から建てる所までを一気通貫でやるのが一番よさそうだと思う。

今の市売問屋の現状からわかること
お客さんは減り続け、売り上げも減り続けている。そして新規顧客が増えることはない。先細りしか見えない現状。
一番売れる材料は一等材がメイン。構造材と役物はほとんど売れない。

私たちの顧客である材木屋さんの話

すべて顧客である材木屋さんから聞いた話。

・工務店さんは無理して自分で仕事を取りたくない。
もう、そもそも自分で仕事を取りたくないらしいのです。

・その理由は大手の下請けに入っていた方が楽だから。
販売と集客を自動的にやってくれる上に、在庫のリスクを負う事も無い。ローンなどの面倒くさい手続きや、クレーム対応も親会社がやってくれる。建てた手数料をもらうだけの方が楽。自分で頑張って仕事を取らない方が良い。

・材木屋さんのお客さんはそういう人が多い。
現状の材木屋さんのお客さんはそういう人が多い。大手はプレカット込みで自社で材料を確保する。だから材木屋さんから材料が売れない。すなわち問屋から仕入れることもない。売れたとしても、たまに必要になるたらずまいぐらい。

・仕事はリフォーム系の材料がメイン。
昔と違って新築の仕事なんてほとんどない。あるのは修繕や増築などのリフォームがメイン。
プレカットでやれないぐらい細かいロットの仕事。「柱を使う」のではなく、逆に子供が出て言った部屋の柱を「抜いて」部屋を広くしたり。

・材木屋というより、ボード屋、建材屋。というか運び屋。
材木よりも、合板や新建材がメイン商材になっている。
「建材も売らなきゃ、材木だけじゃ食っていけない」と年中いわれる。
在庫を持たず、注文が入った必要なものをいる時にいるだけ市場や問屋から現場に運ぶ「運び屋」になっているところも多い。

・構造材はプレカットから直接流れている
だから用があるのは羽柄材とボード系ばかり。

・一社への依存度が高い。
本来であれば、リスク分散の為にも広く浅く商売をした方が良いのだが、お客さん1社への売り上げの依存度が非常に高い。
いま取引しているお客さんが突然買ってくれなくなったり、倒産したら今の売り上げは無くなるという事です。

・顧客は減少の一途。
とはいえ、昔から人情の厚い世界なのでポンと仕入れ先を変えることは無いでしょう。
しかし、年齢には逆らえません。自分も歳をとればお客さんだって同じように歳をとるのです。
工務店さんだって後継ぎがおらず廃業される人も少なくありません。
私の感覚ではメインプレイヤーは60歳以上が圧倒的に多い気がします。一般企業だったら定年間近な年齢です。

・新しい客はいらない。
「あたらしいお客さんを作らないと、お客さんどんどん減る一方じゃないですか?どうするんですか?」ととある材木屋さんに質問した答え。
「それでも新しい客はいらない」と。その理由は「ひっかかる」リスクが高いから。

・ひっかかる=売掛金の回収が出来ないこと。
「あの会社が倒産した!ひっかかった所はあるか!?」なんて会話は日常茶飯事になっています。
ひっかかるとは倒産などの理由で手形が落ちず、売掛金の回収が出来ない事です。
木材は建築資材の為単価が高く、金額が金額だと連鎖的に倒産することも少なくありません。

・そんなリスクを背負うぐらいなら新規顧客はいらない
新規顧客開拓をしなければ尻つぼみになっていくことはわかっているけれど、引っかかるリスクの方がでかいとみんなが知っています。
だからこそ新規顧客を無理に開拓しないのです。
逆に新規顧客が増える時は、仲間の材木屋が廃業をする際に信頼できる金払いの良いお客さんを紹介してもらうときぐらいでしょうか。

材木屋さんに聞いた話からわかること
材木屋と同様に、工務店のお客さんは減り続け、売り上げも減り続けている。そして新規顧客を増やすつもりもない。工務店も無理に自分で仕事をとるよりも集客と販売、クレーム処理や面倒くさい手続きを全部請け負ってくれる大手の下請けに入ったほうが良い。在庫を持つリスクもない。

ここから下は私の思う事。

・今のプレカットの技術は本当にすごい。
素人の私でもちゃんとプレカットされていれば2日もあれば小屋が建てられる。使う工具も最低限で難しい工程は一切なし。
大工さんの技術は必要ないとは思わない。だが、プレカットの力は偉大過ぎる。
小屋を建てるイベントに参加して、足場を組むあんちゃんでも家が建てられる時代なんだと身をもって実感した。

・今の建材の技術は本当にすごい。
木を一切使っていないクロスでも本当に木に見えるものがある。触っても木のよう。
木目柄が必要なのであれば、これ使えば本物の木いらないんじゃないかなと思うぐらい。

・ラスボスを倒したら終わり みたいな簡単な話ではない。
マリオだったらクッパ。ドラクエ3だったらゾーマ。クロノトリガーだったらラヴォス。
ゲームだったらラスボスを倒したらハッピーエンドだが、木材業界のハッピーエンドはそんなに単純ではない。

・補助金に頼らなければいけない山側。
・バイオマス発電の登場により製材所が小径木の原木を確保できなくなっている。
・木の消費地東京でもバタ角が不足気味に。ビルばっかり建つから引く手あまた状態。
・和室の減少により売れなくなっている役物。
・そんな売りづらい役物を作って売りたい生産者側との意識のすれ違い。
・都内の市場で売れるのは基本的に一等材。役物は用事があるときに必要な分だけ欲しい。
・つぎつぎに出てくる建材の登場で使われなくなっているラス下などの木材。
・山側はいい木材を育てたいのに木の消費地東京で一番売れている木材は一番安いバタ角という事実。
・プレカットの登場により市場からの流通が著しく減っている構造材。

とにかく、いろいろな問題がいろいろな方向から絡まっているから余計に解決が難しい。単価が高くリスクも大きい商材だから資本の無いところは負けが濃厚な大博打になりがち。結局細々と少しずつツボんでいくしかないのが現状。

木材業界を救う方法をずっと考えている

今単純に思いつく木材業界活性化は「空前絶後の無垢材を使った和室ブーム」が起こる事かな。

要するに昔のように「和室」や「高級な木材」を家に使うことがステータスの時代が訪れれば、生産者から流通の業者までみんな幸せになれる。と思う。

なんにしても、キーとなるのは「役物」などの高級な木材を売る事。高単価で高利率なものをいかにたくさん売るかという事です。

でも、今はそんな高級な木材の需要が無い。化粧柱だって間柱の節の無いようなところを壁に貼り付けて柱に見せるようなのや、ツキ板張り、最悪の場合紙の木目シートで十分なのだから。

役物を良い木材を使う事で得られる新しいベネフィットを見つける必要がある。

昔は自分の家に人を招く文化があった。良い材料を使う事、立派な和室がステータスだったから自動的に高級材がどんどん売れた。生産者もどんどん生産した。

洋間がメインになった今では、人を招くにしてもいかにおしゃれな部屋にするか、おしゃれでクールな家具を置くかというところに重きをおくようになった。和室は落ち着くかもしれないけれどどうしても必要なものでもない。現に私の実家では和室は物置になっている。

木材問屋という川中にいて思うことは、良い物を生産し売りたい山側と、良い物をそこまで必要としていない材木屋のすれ違いですね。役物の置き場とか、動きが無さ過ぎて完全に景色になってますから。

この業界に来た時から、木材業界が良くなるにはどうすればいいのかをずっと考えているけれど、答えはいまだに出ないままです。

そのPRの意味は何だ?

この業界にいると「木を使おう、木を使おう」というPRを良くみます。それは一体なんのPRなんだろうか?と正直何年も前から疑問におもってます。誰が、いつ、どうやって、なんのために、どこで、木を使わせようとPRしているのか。全然わかりません。わけわかめって感じ。家を建てるのに木を使ってほしいなら、そのPRしなきゃいけないのでは?

せっかくお金をかけて行ったそのRPの意味ってなに?っておもっちゃいます。

おわりに

色々とバーーーーッと書きまくって、まったくとりとめもなくなってしました。

こんなにも文章がとりとめもなくなってしまうぐらいに市場から見たこの業界が八方塞がりな状態だという事が分かってもらえたら嬉しいです。

木材業界を救うにはどうしたらいいのか。そもそも木材業界が救われるというのはどんな状態の事をいうのか。最終的にどんな方向に向かっていくと幸せになるのか。

それが分からないままもがいているなと感じています。

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