多くの方は競合他社と差別化を図るために「他とは違う」何かしらの「差異性」を出そうとします。
全く同じものやサービスなら、できるだけ安いところから購入したいと考えるからです。
しかしながら、その差異性がお客様の方向を向いていないパターンを良く見かけます。それは大手のメーカーさんでもよく見かけます。
悪い言い方をすれば「自己満足」を差異性にしてハマっているパターンです。
今回は、そんな差異性を今一度見直してもらうきっかけになればと思い記事を書かせていただきました。
自分のサービスや商品の差異性がいまいちわからない方にも読んでいただけると、新たな発見があると思いますよ。
その「差異性」は本当にお客様の為?
あなたの考えている、もしくはやろうとしている差異性は本当にお客様の為の物になっているでしょうか?
もしかすると、完全に自己満足にハマっているパターンかもしれません。
ポータブルMP3プレイヤーにたとえてみましょう。
高音質を持ち運べた方が良いだろうと「1㎜でも薄く!1gでも軽く!高音質で!」という差異性を打ち出したとします。これはソニーの「ウォークマン」だと思ってください。
しかしながらお客様はそれを望んでいるわけではなく、「データ容量(音質)を多少落としても、おしゃれに手軽に音楽を持ち運びたい」と考えていました。そして、それの要望を満たしていたのがappleの「iPod」です。何世代にもわたって爆発的に売れているのを見ればわかると思います。
実際に、ウォークマンよりもiPodの方が売れています。
「薄く!軽く!高音質で!」の差異性はお客様の方を向いているのではなく、自社の技術力でできるコンセプトのなかで打ち出した差異性だったのです。実際に音質を求める方も少なからずいます。ですが、大多数は後者の「手軽に音楽を」の方に該当していたのです。
この例のように、お客様の為にお客様の求めるコンセプトで差異性を打ち出せているかを今一度考えてみましょう。
あなたも周りの商品やサービスを第三者目線で見てみてください。きっと「これは自己満足に陥ってるパターンだな」と感じることがあると思います。自分の商品やサービスでも自分が気付かないだけで同じパターンにハマっている事がありますよ。
価格で差異性を出すのはやめた方がよい
ここで一番やってはいけないのが「他より安ければ、うちで買ってくれるだろう」と価格で差異性を出すことです。
確かに、同じようなものであれば安いほうが売れやすいです。しかしながら価格だけで勝負すると最終的に資本の大きいところに負けることになります。
安くして、ライバルが値下げしたから更に値下げして……最終的に原価ギリギリかもしくはマイナスで商売することになりかねません。どちらかがつぶれるまでコレが続くのです。潰れたらライバルがいなくなるわけですから、元の価格に戻すことはできるでしょうが、お客様がその価格に慣れてしまうと値上げも難しくなります。
レンタルビデオ屋さんでたとえてみましょう。
私の昔働いていたレンタルビデオ店は、どの店舗も近くにTSUTAYAやGEOといった競合店がありました。どの店舗もある程度の相場を守って営業をしていましたが、ある時とある店舗で「毎日旧作全品100円セール」が始まります。すると、競合他社もお客さんを取られまいと同じように100円セールを始めるのです。
それまで400円近くで貸していたものが一気に100円になるわけですから1本あたりの利益は単純に1/4になります。しかしながら1人が借りてくれる本数も増えるため、しばらくは売り上げも上がります。
そうして、100円が当たり前になって、売り上げも落ち着いてきたころに悲劇は訪れます。
貸出本数は増えているのに従業員は増やせない、棚に戻す人員が確保できないからカウンター内に商品が溢れる。貸出点数も以前より無いため利益も少なくなる。負の悪循環が始まるのです。
レンタルビデオは貸した商品が返ってくるわけですから、貸せば貸すほど利益になるとても利益率の高いビジネスです。しかしながらそこに利益を依存していた店舗はどんどんつぶれていくわけです。
結局は、資本的にどこまで我慢ができるかの我慢比べになります。
たとえ、周りの店舗がつぶれて我慢比べに勝ったからといって、値段をもとに戻すわけにもいきません。値段を上げると借りてもらえなくなるからです。ずっと100円で借りられていたものが200円、300円になったら誰だっていやでしょう。さらなる我慢が続くのです。
大企業ならこういった戦略もとれますが、そうでない限りは価格で差異性を出すのはやめた方がよいといえます。
この場合は、値段を上げてでもそれ以上の価値を提供できないか?を考えた方が良いです。
お客様に直接聞いてみるのが一番良い
そんな声が聞こえてきそうです。これはあなたのお客様に直接聞いてみるのが一番良いです。
実際に使ってもらって、「使ってみてどうでしたか?」「どうしたらもっと良いものになると思いますか?」「どうなってたらもっと買いたいと思いますか?」と聞いてみてください。
できる事、できない事を含めて様々な意見が出てくると思います。
その中で出来そうなことからやってみてください。
私のカホンキットの例でいえば、紙の説明書だけだと組み立てが難しい方、よくわからない方から「組み立て方がもうちょっとわかりやすい資料が欲しい」と言われた為、組み立てを固定カメラで最初から撮影し字幕と共に編集した動画を作成しました。塗るボンドの薄さ具合もわかるレベルで作成したので、見てさえいただければほとんどの方がちゃんと組み立てできる状態になったと思います。
その証拠といってはなんですが、動画を作ってから今まで「組み立てに失敗した」という知らせは入っていません。
そして、その動画は一般にも公開しています。自分で素材を用意してカホンを作りたいという方のお役に立てればと考えたからです。
そういった方からもお礼のメールを頂くことが多々あります。そこから素材と音の比較の為にカホンキットをお買い求めいただけるパターンもあります。
あなたの商品のサービスや価値を上げるためには、あなたのサービスや商品を利用したことがある人に直接聞いてみるのが一番良いです。
それが、最終的にお客様の方向を向いたあなただけの「差異性」になるのです。
ふと合ったときにちょっと聞くぐらいでも新たな発見があるはずです!是非、聞いてみてくださいね!
- 差異性が本当にお客様の為になっているのか確認しよう
- 価格で差異性を出すのはやめよう
- 差異性のヒントはお客様が持っています。直接聞いてみよう。